離婚する場合、親権はとても重要な決め事です。
従来は余程の事情が無いかぎり、母親に引き取られることがほとんどでしたが、近年では父親が親権を希望する親権争いが増え、それに伴い、母親ではなく父親の親権が認められるケースも増えてきています。
特に母親が浮気により婚姻時に家事育児を放棄し、その上で離婚に至る場合には男性が親権を主張することがほとんどです。今回は難しいと言われている父親が親権をとる事について解説していきます。
目次
1.父親は、親の適正がない母親より不利?
(1)母親が有利だが、子供の年齢と意思表明も重要
離婚になった場合においては、母親が親権者となり子どもを引き取るケースが圧倒的に多いです。しかし最近では、父親が子どもを引き取りたいと法廷で親権を争うケースが増えています。
よく誤解されているのですが、親権というのは親の権利という意味では無く、未成年である子どもの生活全般を管理する親のことを言います。食事の用意や身の周りの世話をして、教育を受けさせるほかに、子ども名義の財産管理や、子どもの過ちに対する賠償責任などもあります。
これらのことを考えると、男性というだけで父親が親権者として母親よりも劣っているとは言えません。裁判所では子どもの意思表明権を踏まえ子どもの意思を重視する傾向にありますので、子どもの気持ちを考えるようにしましょう。子供の年齢が高い程、本人の意思が尊重される傾向にあります。
2.子どもを引き取りたいなら育児実績が必要
(1)育児している実績重視
子どもが小さいうちは母親が有利ではありますが、共働き夫婦が一般化しつつありますので、積極的に育児参加している父親が増えています。母親ばかりが子どもの世話をするのでは無く、父親が育児休暇を取ってまで育児をするケースも多くなりましたし、育児する父親を指す゛イクメン”なる言葉も浸透する一方で、家事や子育てを夫まかせにしている妻もいます。
親権者指定の調停や裁判では、わずかですが、父親側の要求が認められるようになりました。子どもを母親にまかせられない、親権を得て引き取りたいと本気で願うなら、子どもを引き取っても問題のない育児実績を見せることと環境を整えることが重要です。
3.親権争いで有利になるポイント
(1)有責となる原因があれば証拠集めを!
離婚理由が、たとえば暴力、虐待などの場合、どんな言い訳をしても原因をつくった側が親権者になるのは絶望的です。このような有責がある相手と調停や裁判で争うなら、その過失の証拠を集めましょう。
浮気不倫の場合には不貞の証拠が必要不可欠です。何度も育児を放棄して愛人と接触している所や不貞の事実を長期間に渡って記録していく事が大切です。
(2)有責となる原因が無い場合には離婚後の養育環境アピール
母親側に有責となる原因がない場合、相手の落ち度を探したり、経済力の違いを訴えたりするのではなく、あくまでも子供にとって良い養育状況を主張することです。これまでの育児実績や、実際に子どもを引き取っているなら、日常生活に支障がないこと、仕事で忙しいときに協力してくれる親やきょうだい、親しい友人がいることなどを証明するのです。
また、幼稚園や保育園の保育士や、家族ぐるみで交際する隣人、知人に、父親ぶりをアピールする陳述書を書いてもらえるようにお願いするのもよいでしょう。さらに、子どもとの生活をつづった育児日記やブログがあれば、それらもポイントアップに繋がります。
(3)育児を中心とした転職や実家家族の育児参加が可能か?
仕事でどうしても帰れなかったり、育児を中心とした仕事が出来ないということは十分に想定されます。その場合において転職してまでも育児を行う決意があるのかは大切な要素です。仕事で帰宅時間が遅くなったとしても変わりに養育してくれる家族がいるか?一番は実家に住んで両親や家族が変わり面倒を見てくれるような環境が作れるかがポイントとなってきます。
4.母親の浮気が原因で離婚に至った場合の親権
(1)離婚後に不倫相手と同棲する可能性があるか?
最近では女性の社会進出の増加に伴い、既婚女性の不倫も増えてきました。女性の不倫の特徴としては、職場関係者や同級生など一定期間を一緒に過ごしていた人物と不倫する傾向があります。女性が不倫する場合、夫婦関係が破綻しているケースや、夫との関係は完全に冷え切っている状態であることが多く、家事や育児を放棄してまで不倫している事が大半です。子供が小さい場合だと、不倫相手と合わせているケースもあります。
子供にとって母親と一緒に過ごす方が良いと思いながらも、離婚後に違う父親と一緒に過ごすかもしれない、という事を考えるとやはり自分が親権を取得すべきであると思われるのは当然であると言えます。新しい父親との間に子供が出来てしまうことで、家庭内での暴力や性的虐待を受けてしまう、ということがありえます。
(2)不貞の証拠がある場合、不倫相手との関係を絶たせる
離婚協議や親権について夫婦で話し合う前の段階で、まずは不倫相手に対して慰謝料請求します。
その際には、慰謝料の他に今後の面会禁止を約束する文章を取り交わしておきます。離婚してしまった後に再度交際する可能性はありますが、一度でも痛い目を見ておくことで、気持ちが離れていく可能性があります。
(3)調停や裁判所で判断してもらうのでは無く当事者間の協議で決める
調停や裁判となり、そこで親権の判断を下される場合には、とても父親が不利な状態となってしまいます。これまでの経験でもいくら母親側が不倫していたとしても、父親が親権を取得出来ることは数少かったです。だからこそ、そこまで行く前の段階におけるお互いの協議の段階で決めてしまえる事が大切です。
これまであった効果的な手段としては、不倫相手に対する慰謝料請求をしない事や、財産分与を多く分配するなどで交渉し、父親が親権を取得したケースがあります。離婚原因が不貞では無く性格の不一致によるもの、として不貞の事実を一切公開しないという約束で取得出来たケースもありました。
5.子どもを引き取れなかった場合
子どもの親権争いに負けてしまっても、そこで子供とのつながりが断たれるわけではありません。別れた親には子供との面会交流の権利があるので、その約束を取りつけます。決められた条件の範囲内になりますが、定期的に会うだけでなく、学校の休暇時期の宿泊や旅行、学校行事への参加なども交渉出来ます。それらが認められたら、子どもとの時間を大切にして父子関係の絆を強めていけば、希望どおりではなくても、子供の成長を見守り続けることはできます。
尚、子どもとの面会を続けたければ、養育費をきちんと支払い、面会交流での約束をしっかりと守ること。相手の感情を損なうようなことをすると、面会交流を制限されたりするので気をつけましょう。
まとめ
(1)親権争いに有利な要素
- これまでの養育実績
- 養育協力者の存在
- 生活環境
- 経済力、安定した収入
- 子どもの意思や希望
(2)親権争いに不利な要素
- 子どもへの虐待・暴力
- 育児放棄
- 生活態度
- 浪費癖
- 浮気、不倫、異性関係
- 病気や健康面での不安
(3)母親としての過失を証明するもの
- 不貞の証拠
- 虐待が疑われるとき、医師の診断書や、現場を隠し撮りしたもの
- 育児放棄、素行問題が見られるなら、家の中の様子や日常行動
- 学校や幼稚園、保育園などの遅刻や欠席の状況、仕事以外で長時間子どもを預けて外出している様子など
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