夫婦が離婚するときに未成年の子どもがいるときは、必ず親権者を決めなければなりません。 離婚届を提出する際には必ず親権者を記載します。実際は、母親が引き取ることが多く、裁判所の判決でも母親を親権者にする傾向が強くあります。
しかし、母親の浮気が原因で離婚に至った場合だったりすると、父親が親権を主張することも多くあります。そういった場合はどうなるのか?どのような基準で親権者は決まっていくのかを解説していきたいと思います。
1. 親権の決め方の原則は夫婦間の話し合い
どちらが親権者になるか?という点については、まず夫婦の話し合いから始めていきます。お互いがスムーズに合意する場合には、離婚届に記載して明記すればそれで完了なのですが、協議によって決まらなかった場合には家庭裁判所に調停・審判を申し立てすることになります。
親権者指定には
- 子供の意思尊重の原則
- 母親優先の原則
- 事実状態保護の原則
- きょうだい不分離の原則
- 離婚に際しての有責性
- 子供の利益
などの判断基準により決められることになります。
判断の基準となるのが、子どもに対する愛情や肉体的・精神的に健康であるか、経済的や時間的な余裕があるかということ等です。また、子どもの意思や子どもの年齢も関わってきます。話し合いで決まらない場合には家庭裁判所へいくことになります。
15歳以上の子どもの場合は、子供に現状を理解出来る十分な判断力があるとして、原則その子の意見を聞いた上で意思が尊重されます。しかし、乳児や幼児の場合は、母親と暮らすほうが適当と判断されがちです。子どもが幼いほど、母親が親権を持つ傾向にあります。一部データでは父親が親権を獲得する割合は、1割程度とも言われています。
2. 「妻の浮気」が離婚理由であっても親権には関係ない
親権を決める際は離婚の原因と親権問題は切り離して考えるのが一般的です。そのため離婚の原因を作った方にも、親権者になれる権利はあります。特に日本においては母親が優位な「母性優位の原則」がありますので、母親に浮気などの有責性があったとしても、父親が親権をとることは難しいです。
家庭裁判所が親権を決定する上での判断基準としては以下のようなものが挙げられます
親側
- 経済的に今後も養育していける状態か?
- 子供に対する愛情や養育意欲は強いか?
- 健康面や精神面での不安は無いか?
- 養育に協力してくれる親族の存在はあるか?
子供側
- 子供の意思はどうか?(子供の年齢によっては一番重要視される)
- 女の子の場合、特に肉体的発育状況
- 適応しやすい環境が作れるか
特に子供が15歳以下のような場合には、妻側が親権を主張し余程の事情がなければ母性優位の原則から母親が有利になります。但し最近では、「子供の幸せ」を優先する傾向にありますので、子供の意思で父親が取得出来るケースが増加しています。
3.父親が親権を得た事例
【離婚理由:妻の浮気】
夫は単身赴任中で家におらず、妻は職場の男性と浮気を繰り返しており、深夜に子供をおいて外出しそのまま朝帰りを繰り返していた。朝起きることができず、子供の朝食やお弁当を作ることを放棄してしまうような状態が続いていた状態を子供から聞いた夫は、探偵社に妻の浮気調査を依頼し、愛人男性との密会の様子や育児放棄とも言えるような日常生活を記録した。
【親権を取得できた理由】
子どもは幼かったが、普段から積極的に育児・家事に参加する父親で、子どもも非常に父親に懐いていた。父親は親権取得する為に職場を変え、定時に帰宅出来る環境を作り実家生活に変えて祖父母も養育に協力してくれる環境を作った。母親も親権を主張していたが、子育てを支援してくれる家族もおらず仕事上不規則な生活となるため、子どもの今後の生活環境が考慮され父親が親権を獲得することとなった。
4.妻の浮気が分かり、離婚を決めている中で親権をとる為にやるべきこと
妻の浮気が分かっている場合において、離婚と共に子供の親権を何としてでも取りたい場合には水面下でやっておくべきことがあります。
確実な不貞の証拠を撮っておく
相手の有責性をしっかりと証明しておく必要があります。メールやラインのやりとりなどの不確実な状態で動き出すのでは無く、調停や裁判になり相手が否定してきたとしても大丈夫なものを予め撮っておいた方が良いです。
育児放棄、家事放棄している様子を写真や日記に記録しておく
もし子供を置いてしょっちゅう外出している事実があれば、その詳細を日記に記録しておくのも有効です。妻が浮気しているケースだと、家事を放棄して家がゴミだらけになっていたり、食事もインスタント食品ばかりだったりすることがあります。
そういった実態を写真に残しておくことも大切です。
妻一人で家から出ていかせる
子供の親権をとりたいなら、絶対に子供を連れて出て行かせないようにしましょう。あとで迎えにいく約束としていても、その時に引き渡しを拒否された場合に無理やり連れて行くのは問題となります。
子供と一緒に生活していることで、その状態で調停を申し立てられたとしても、現状維持が優先されることになりますので、一緒に住んでいる方が優位になります。
まとめ
いくら妻が浮気をしたからと言って、妻が子供に虐待をしていたり、育児を放棄していたりしなければ、基本的に現状維持の原則から親権は母親が持つことが多いです。
今の司法では、あくまで『離婚の問題と親権問題は全くの別物』と考えていますので、母親が親権を得られる確率の方が高いですが、父親の方が親権者としてふさわしいと思われるよう行動していくことにより父親が親権者に麩澤再井と認められる可能性は十分にあります。
大きくなってからも授業参観に参加したり、送り迎え、毎年一緒に地域行事に参加したりする等、父親としての役割をきちんと果たしていれば望みはあります。要するに、母親以上に時間を割いて、立派な子育てができることが条件ということです。
また、母親の方が親権者としてふさわしくないという証拠を集めることも交渉等においては父親に有利となります。
結論としては、離婚時に子供がどちらの親元で監護養育されているかといった点や、母親と父親双方を比較し、子供の監護養育といった観点からより良いと判断される点等、母親を非難するよりは父親自身の良い点をアピールできる準備を進めることが必要です。
父親は親権がとれないと諦めずに、専門家への相談等含め前向きに行動してください。