調査をする上で、尾行・張り込みが出来る事は絶対条件になります。上手に尾行を行える人は、上手に張り込みをしています。調査は尾行と張り込みどちらかが得意では成功出来ません。両方をしっかりとこなす事が出来て初めて良い結果が出せるのです。
では、プロの探偵が対象者の張り込みを行う場合において、どのようなケースがあり、そしてどのように行っているでしょうか?もし自分で浮気調査をしようと思っている方にとっても知りたいところだと思いますので、今回は分かりやすく場面ごとに解説していきたいと思います。
目次
1.張り込みにを行う目的には大きく分けて2種類ある
張り込みを行う目的においては(1)尾行を目的とした張り込みと、(2)不貞を撮ることを目的とした張り込みの2種類があり、それぞれの目的に応じて方法や重要視するポイントが違います。
(1)出てきた対象者を尾行する為の張り込み
張り込んで対象者が出てきた所を確認し、そのあとに尾行する必要がある張り込みのことを指します。調査対象者の自宅や勤務先など、調査を開始する場所や、対象者の立ち寄り先を張り込むことであり、具体的には対象者の自宅、勤務先、立ち寄り先である飲食店などです。
この場合において出てきた後に尾行することが目的となりますので、気付かれたり怪しまれたりするような張り込みをしないよう徹底しなければいけません。その為、張り込み位置は出来るだけ遠く、そして目立たないように注意します。
対象者が確認出来るギリギリの距離で、対象者が出てから向かう方向と逆に張り込み、出来るだけ印象に残らないようにします。
(2)不貞場所を張り込み、証拠映像を撮る場合
対象者が不貞場所(ラブホテル、シティホテル、愛人宅など)に入っており、そこから出てきた所を撮影する為の張り込みになり、とても重要な作業になります。
撮影することが一番優先になるので(1)のような尾行を念頭にした張り込みでは無く、良い撮影が出来るかどうか?を念頭に張り込み位置を考えて実行していきます。その為、どうしても張り込み位置が近くなる傾向にあります。又、この場合においては、対象者が出てきて向かう方向側にあえて張り込み、正面の映像を狙えるようにします。
特に愛人宅に入っている場合の張り込みの場合だと、愛人の身元が既に判明している状態であり、その後の尾行の必要は無い為、多少怪しまれても証拠を撮る事を優先し接近して張り込みます。
但し、愛人の身元がまだ判明していない段階におけるラブホテルやシティホテルでの張り込みでは、出てきた後に愛人を尾行して住所を判明させなければいけないので、出来るだけ社内から張り込んだり、2台に分かれて張り込み、撮影班と尾行班を分けて調査を行います。
2.どんな場所に張り込んで【尾行】するの?
対象者宅がマンション・アパートの場合
調査対象者の居住先より対象者を尾行する場合、まず気を付けて欲しい事があります。それは対象者の移動手段です。移動は自家用車なのか?それとも自転車?最寄り駅迄歩き電車を利用するのか?と、他にも沢山の可能性があります。移動手段によって調査の方法や張り込む位置は変わって来ますので、調査をする前に移動手段を確認出来る場合は、確実に確認しておきましょう。
では、調査前に移動手段がわからない場合を想定して、張り込み尾行するケースを見て行きたいと思います。
まず、出入り口の数と位置を確認して下さい。人の出入りする場所や自転車の出入りする場所、車やバイク専用の入口が無いのかどうか、虱潰しに探して確認して下さい。出入口の確認が済んだらまず車両を正面玄関前に停車しカメラのセッティングをしましょう。そして車の出入口には立ち張りの調査員を配置します。
ここで「逆じゃない?」と、疑問に思う方がいると思いますが、良いんです。何故かと言うと、ここではあくまで移動手段の特定が出来て居ない状態を想定して話をしています。移動手段が車と分かっていれば車の出入口側に車両の準備をし張り込みますが、分かっていない場合は正面玄関側に車両を配置するようにします。
ただ単純に張り込み、対象の出る姿を撮影するだけでは無いのです。その後、尾行をしなければなりません。出入口前に駐停車していた車がずっと付いてくれば誰でも怪しみます。対象者の車両を特定し尾行出来たとしても警戒されてしまっては何も意味がありません。対象者に悟られる事無く最後まで尾行する為には、少しでも対象者に違和感を与える様な行動をしない事です。
対象者宅が一軒家の場合
続きまして対象者宅が戸建ての場合ですが、こちらも移動手段が鍵になります。ここでは玄関前に駐停車する事はなるべく避けましょう。対象者が敷地から出て来る姿が確認出来る位置に車を待機させます。姿を見せずに玄関を見る事が出来るのであれば、立ち張りの調査員を配置させ、対象者の移動手段を確認させます。確認させた調査員には尾行をさせません。これは見られている可能性を考えての事です。
対象者の出て行きそうな方向が分かる場合(家を出て右にしか行けない・一番奥の家等)は行くであろう方向の反対側で張り込みます。反対側で張り込めない場合はなるべく対象者宅付近で見られない位置取りをしましょう。
勤務先から張り込みをし尾行するケース
勤務先では居住先と同じく出入口の確認が大切になります。一カ所でも見逃していると監視の目をすり抜けてしまいます。特に従業員しか使用出来ない出入口は入念に確認しましょう。出入口の特定が出来たら正面に車を位置取ります。
勤務先では居住先とは違い沢山の人が出入りします。その為、見逃してしまう可能性を消さなければなりません。対象者が出て来ていたが、大勢の人と重なっていた為に見えず、見逃してしまったなんて事もあります。対象者をキャッチ(確認する事)出来なければ、尾行すら出来ず調査になりません。勤務先から張り込む場合は、特に対象者をキャッチする事に比重を置いた張り込み位置をとりましょう。
立ち張り込みの場合
マンションや一軒家の違いもありますが調査をする人数でも張り込む位置は変わってきます。ここでは1人で張り込む事を前提に話をして行きたいと思います。
マンションでは出入口の数が多く1人で張り込むのはとても厳しいです。そこで部屋の扉を敷地外から直接見える場所を探しましょう。部屋から出てくる対象者を直視する事で、マンションから出る対象者を確実に捉える事が出来ます。
3.尾行目的の張り込みで調査員が気を付けるポイントとは?
尾行目的で張り込みを車で行う場合
車で張り込む場合は、片側2車線以上ある場合は必ず対象者がいる建物がある側に車を停めます。車線の反対側に停めてしまうと、他の車が通った際、視界が遮られてしまい、見逃してしまう可能性があります。尾行をする為に張り込むので、映像は重要な証拠になるわけではありません。なので、少し離れた位置での張込みになります。
夜に張込みを行う場合、周りの環境音も少なくなっているので、エンジン音が思ったよりも響きます。エンジンがかかっている車がずっと止まっていると不信感を与えてしまう恐れがあるので、エンジンを切って張り込みます。対象者がいる建物から一気に大人数が出てきた場合、車から降りて確認しましょう。対象者が出てきて、車がある方に歩いて来た際は、シートを倒すなどして、姿を見せないようにします。
尾行目的で張り込みを立って行う場合
立って張り込む際は、あらかじめ対象者が歩いていく方向がわかっている場合は、歩いていくと思われる方向と逆側に立つことで、姿を見せずに尾行を開始する事が出来ます。なにも無い場所にただ立っていると怪しまれるので、喫煙所やコンビニなどの店舗の前など立っていても怪しくない場所を探します。ベンチなどがあれば座っていれば怪しくなる事はほとんどないでしょう。
細い道や住宅街で張り込む際は、同じ場所にずっと立っているとどうしても怪しくなります。定期的に場所を変えたり、歩き回ってみるなど工夫して張り込みましょう。また、何もせずにじっと建物を見ていても、不審に見えます。携帯電話を見ているフリをしたり、電話をしているフリをすると怪しく見えません。立って張り込む場合は、対象者や近隣の方になにか目的があってそこにいると思わせる事が重要です。
4.不貞撮影目的の張り込みで探偵が気を付けるポイントとは?
不貞撮影目的でラブホテルを車で張り込む場合
不貞撮影目的での張込みは、出来る限り車で張り込むようにする事が多いです。車の中だと、カメラを隠しやすく、三脚などを使って思った角度で撮影しやすい為です。
ラブホテルの場合は、駐車場があれば、極力駐車場内に駐車し、ラブホテルの出入口を撮影します。駐車場に入る際は運転手以外の人は後部座席に隠れます。そして、エンジンを切って、カメラを設置した後に無人を装いましょう。
しかし、駐車場に係員がいたり、防犯カメラを従業員が見ていた場合は話しかけて来る場合があります。その場合「後から相手が来る」「デリバリーヘルスを利用する」などと言って、車内で待たせてもらえるように説得しましょう。それでも断られる場合があるのでその場合はホテル中で待つ等と言って、運転手は一人でホテルの部屋に入ります。その後、車内に残った調査員が対象者が出てきたかどうかを確認する為、出入口を確認し続けます。
ラブホテルで張り込む場合、愛人宅が判明していない場合があります。その場合は、対象者と浮気相手が出てきた際、そのまま尾行に移る事になるので、決して怪しまれてはいけません。
不貞撮影目的でラブホテルを立って張り込む場合
ラブホテル周辺で立って張り込む場合は、従業員が出入りする場合があるので、あまり近づきすぎず、証拠の撮影が出来る場所を探します。出来ればラブホテルの自動ドア等の出入口を撮影するようにします。
しかし、愛人宅が判明しておらず、尾行に移らなければいけない場合は、無理をして怪しまれてはいけません。その場合、敷地内から出る所を撮影します。少し離れた場所で、人を待っているフリなどをしながらカバン等にカメラを隠し、地面に置いて撮影します。従業員が出てきた場合、電話をしているフリなどをするとよいでしょう。対象者と愛人が出てきたら、なるべく自然に、視界に入らないように尾行に移ります。
不貞撮影目的で一戸建・マンションを車で張り込む場合
対象者の別宅や、愛人宅で張り込む際は、マンションであっても極力玄関を確認出来る位置を探します。対象者の帰宅時間がわかっていて、大体の出てくる時間が予測できる場合はその時間帯だけ月極駐車場などの空いている場所で張り込む事もあります。ですが、あまり長時間停まっていると、その場所を契約している方が帰ってくるとトラブルになり、調査に支障を来たす可能性があるので極力邪魔にならないような場所を選ぶようにしましょう。
愛人宅で張り込む際は、出てきた後に尾行する必要は無いので、多少怪しまれても問題ありません。目立たない事よりも証拠を撮影する事を優先し、しっかりと出入を撮影出来る場所を確保する事が大切です。
不貞撮影目的で一戸建・マンションを立って張り込む場合
不貞の撮影では住居から出てくる所を撮影する場合もあります。対象者の別宅や愛人宅で張り込む場合は、周りの状況等を判断し、極力怪しまれにくい場所を探します。マンションの場合は玄関の見える位置を探し、見えなければマンション内に入り、玄関から出る所を撮影出来ると、証拠としての信憑性が高くなります。
タワーマンション等セキュリティの高いマンションの場合は絶対に中で張り込んではいけません。監視カメラが多数設置されてある事があり、管理者や近隣住民に見つかってしまうと対象者の耳に入ってしまう可能性もあります。周囲の状況によってはマンション内に入り込んだ方が張込みやすい場所もあるので、周囲の状況によって張込み位置を判断しましょう。
マンション内での張り込みをする場合は、周囲の音に集中し、人に見られないように移動しながら張り込みます。しかし、証拠を撮影しなければならないので、カバンの中にカメラを仕込んでいても、カバンを落とし物として拾われる可能性もあるので、カバンから目を離してはいけません。自分のいる場所を住民が通りそうであるなら、電話をしているフリ等しながらやりすごしましょう。
5.尾行目的の張り込みではどれくらいの時間張り込むの?
対象者の自宅を張り込む場合
対象者の自宅で張り込む場合、調査依頼時に依頼者様より対象者が自宅を出るおおよその時間を聞いておりますので、その場合は余裕をもって予定時間の1時間前から張り込むことが多く、大体1時間~1時間半ほどの張り込みになります。
自宅のある場所は住宅街が多い為、長時間の張り込みは通報されることになりますので、出来るだけ短時間で終われるようにします。
対象者の職場を張り込む場合
職場の場合も、定時の時間がわかっている場合が多く、予定時間の1時間前から張り込みます。しかし、必ず定時に出てくるというわけではなく、残業等があれば、多少時間が伸びる事があるので、大体1時間~3時間ほど張り込む場合もあります。
対象者の立ち寄り先を張り込む場合
飲食店
飲食店の場合は飲食店の種類にもよりますが、お酒を飲まないような場所であれば、それほど長い時間飲食している事はあまりなく、30分~1時間程の張り込みになります。居酒屋やバーなどのお酒を飲む為にいくようなところであれば2時間~3時間ほどでしょう。
ジム
日課として対象者がジムに行く場合もあります。1~2時間程トレーニングをして、シャワーなど帰り支度をするという方が多いので、2時間~3時間程で出てくるという事が多いです。
エステ・マッサージ
エステやマッサージなどの店舗に行く場合は、店先の看板やホームページ等に~時間◯◯円というように掲載されています。大体40分~120分程度のコースである事が多いです。着替えなど帰り支度を考えると1時間~2時間半の張り込みになります。
漫画喫茶・インターネットカフェ
男性の対象者が立ち寄ることが多く、入店時間により張り込み時間が変わります。というのも終電ギリギリであったり終電後に入った場合には、朝まで過ごすことが予想されますし、まだ日中であったりすると1時間から3時間のコース内に出てくることになります。
6.不貞撮り目的の張込みではどれくらいの時間張り込むの?
ラブホテルの場合
ラブホテルの場合は時間は様々ですが、入った時間帯によって大体時間が決まってきます。朝~昼頃までに入った場合は、出た後に二人で出かける事も考えられますので、ラブホテルで決まっているサービスタイムやパックの時間を目安にします。大体が2時間毎に区切られている場合が多いです。
その為、2時間ほどで出る対象者が多く、長くても4時間程度で出てきますが、22時以降に入った場合はラブホテルのシステム上「宿泊」扱いになる事が多く、朝まで何時に出ても同料金です。外泊をする対象者であれば、ほとんどの場合宿泊になるでしょう。宿泊になれば朝まで出てくる事はあまりなく、6時~10時までの間に出てくる事が多いです。
シティホテルの場合
最近のシティホテルではデイユースなどの昼間に数時間部屋を借りられるシステムもありますが、夜にチェックインし、朝に出る事がほとんどです。その為、シティホテルを利用する対象者の場合は長時間の張り込みになるでしょう。
シティホテルの場合はチェックインとチェックアウトの撮影が必要になるので、フロントのある空間で張り込む事になります。ほとんどの場合はフロントにはソファやテーブルがあるのでそこに座って張り込み、カバンの中から撮影します。
愛人宅の場合
愛人宅の場合では、大抵どこかでデートや食事をした後、夜に入ります。その為宿泊する事が多く、長時間の張り込みになります。ほとんどの場合は朝6時~10時の間に出てきますが、稀に対象者が連休だったり、依頼者様と一緒に住んでいない場合は昼から夕方に出るという場合があります。
対象者と愛人が同居している場合には次の日の出勤時間になる事が多いですが、コンビニなどの店舗に行くなど、入ってから数時間後に出てくる可能性もあります。
7.張込み前にどんな準備する?準備するものとは?
着替え
張込みをする際、出てきた後に尾行に移る事が多い為、出てきた時に怪しまれる可能性もあります。その為いくつかの着替えを用意しています。人はすぐに他人の顔を覚える事は難しく、服装が変われば別人だと認識する事が多いのでとても有効です。
自転車
対象者の自宅や愛人宅に入り込む際、対象者の移動手段がわからない場合があります。その場合に一番見失ってしまう可能性の高い移動手段が自転車です。調査の際に使う車に折り畳み自転車を積んでおくなどして、調査開始の際に自転車の用意をしましょう。
三脚
対象者の現在の姿や、不貞の証拠となる映像を取る際に車の中で三脚を使用しビデオカメラを固定します。三脚がなければしっかりとした映像が取れません。角度をしっかりと固定し証拠能力の高い映像を撮るには三脚は必要不可欠です。
食べ物や飲み物
対象者が宿泊するなどすると張り込みが長時間に及びます。その為、現場を離れなくてもいいようにあらかじめ飲み物や食べ物は用意しておきましょう。特に夏場はエンジンを切って張り込むこともあるので、水分をこまめにとらなければ、熱中症などの危険もあるので、多めに飲み物は用意しておきましょう。
インバーター
インバーターとは車のシガーソケットに挿入すると、家庭用コンセントを使えたり、携帯端末の充電が出来るようにする道具です。インバーターがあれば、カメラを電源に接続しながら撮影が出来るのでカメラのバッテリーを気にすることなく調査を行えます。
カメラのバッテリーは大きな物でも8時間前後で切れてしまうので、張り込みが長期に及ふ場合はインバーターがあれば便利です。また、調査員同士の連携を撮る際携帯電話を使うので、尾行から張り込みに移った際は車で携帯電話の充電も出来ます。
まとめ
調査において張り込みはとても重要で、後の調査に大きな影響を与えてしまいます。
張り込みをする際に重要な事は、ただ出てくる所を撮影するというわけではなく、車の停車位置や立っている場所は怪しくないか、尾行に移る準備がしっかり出来ているのか、という所です。怪しくない場所を確保していても見逃してしまったり、スムーズに尾行に移れず、見失ってしまえばなんの意味もありません。調査員には、周到な準備と周辺の状況判断が求められるのです。
また、撮影を優先するのか、怪しまれない事を優先するのか等、調査の進行状況によっても張り込む位置は変わってきます。よく考えた上で張り込み位置を決めなければ、完璧な調査を行うことは難しいでしょう。