対象者の尾行において、電車、バス、タクシーについては日常の移動手段ですので利用する対象者は多いですが、新幹線を日常で使う対象者はごく一部といえます。非日常的な乗り物ですから、調査方法も電車とは全く変わってきますし、調査の難易度も高くなります。
事前に新幹線を利用することが分かっている浮気調査であれば、まだ対応する方法はあるものの、全く分からない状態で調査し、対象者が突然新幹線を利用した場合には、そこから尾行を継続することはとても困難になってしまいます。ただ、経験のある探偵であれば、そのような突然の状況でも対応する方法を知っています。
そこで今回は、難易度が高いとされている新幹線の尾行について解説していきたいと思います。
1.新幹線を利用する対象者を尾行する場合の浮気調査方法
1−1.対象者が切符を購入する際の注意点
新幹線の切符は電車と違って、電子マネーで改札を通過することができません。新幹線を使うことが事前にわかっている場合は、新幹線の駅で待機している調査員が切符または入場券を予め購入しておき、対象者を追跡してきた調査員に渡します。
行き先がわかっている場合はそこまでの切符を購入しますが、新幹線に乗るけど行き先が分らない場合は、ひとまず入場券を購入し改札を通過します。
もし、その際に切符を購入する場合には、その新幹線で一番遠くまで行ける切符を購入するようします。東京行なら東京までの切符を、鹿児島中央行なら鹿児島中央までの切符を購入します。
1−2.対象者が改札を通過する際の注意点
対象者がネットや事前に切符を購入していて、販売機を操作せずに改札を通過した場合には、入場券をひとまず購入して改札を通過し、対象者と同じ新幹線に乗車します。その上で、乗車した新幹線の目的地までの切符を車内の車掌さんに言って購入します。
問題は、調査員が一人で対象者と尾行している時に、いきなり新幹線の改札を券売機の操作なしで通過したときです。その場合には先に入場券を購入するのではなく、対象者の視線の方向に注目します。
大方の対象者は新幹線に乗りなれておらず、ほぼほぼ先に構内の電光時刻表を見るために、ホームの番号がその時点でわかります。新幹線は電車と違い、直ぐには発進しません。ホームの番号を確認してから、入場券を購入し、その後でホーム又は、ホームで停車している新幹線の車内を素早くチェックします。
もし、対象者が急いで改札を通過した場合も視線の方向だけは必ず見ておき、入場券を購入した後、一番早い新幹線の車内をチェックします。
1−3.対象者が新幹線に乗車する際の注意点
電車と違い、新幹線は自由席と指定席に分かれています。指定席はさらにグリーン席と通常の指定席に分かれています。
通常、指定席より自由席に乗車する人の方が多いのですが、対象者の多くは指定席を購入します。なぜなら、浮気・不倫をする対象者の多くは目的地まで一人で向かうからであり、それは自由席だと座席を確保できても、トイレや喫煙等で席を外せなくなるからです。
指定先は時間帯や行き先によっては、乗客が少なく、対象者と一緒の車両に乗り込み、座席を確認しようとすると目立ってしまい、対象者の印象に深く残ってしまうかもしれません。なので、新幹線に乗車する時は、対象者と同じ車両に乗車しないようにします。発車まで時間がない時はやむをえませんが、通常、対象者が乗車して、座席に座るまではホームから対象者を見ます。
また、車内では前後の車両から対象者を挟み込むように調査員を配置します。もしくは、同じ車両で対象者を確認できやすく、出来るだけ距離が離れている席があれば、その席を確保し、車内ではなるべく対象者の視界に入らないように配慮します。
座席に座っているのなら、尾行はしやすいですが、席を外した時は、必ず着いていきます。例外なのは、カバンやバッグ等の荷物を座席に置いている時でこの場合は動かずに対象者が戻ってくるのを待ちます。
席を外した場合、何をしているのかを確認します。トイレなのか化粧なのか通話をしているのか。もしかしたら、その行動の中に、浮気相手のヒントが隠されているかもしれないからです。どちらにせよ調査員で挟みこむような態勢をキープするように心がけます。
1−4.対象者が新幹線を降車する際の注意点
対象者によっては駅に到着するぎりぎりまで動かないケースもあり、見極めが必要です。
駅が近づいて立ち上がったため、慌ててついていくと、その駅では降りるつもりは無く、トイレに行っただけということもあります。下手に慌てて後を追うと、対象者の記憶に残ってしまい、尾行がしずらくなります。
駅に近づき、対象者が荷物を持ったら、降りるサインです。この場合も乗車時と同じように、前後の車両から対象者を挟み込み、一人は対象者の真後ろから、もう一人は隣の車両から降りるようにします。
また、降車時の改札ですが、車内で購入した切符は自動改札を通すことができないため、一人の調査員は対象者を見続け、もう一人は駅員さんに切符を渡すようにします。決して対象から目を離してはいけません。
1−5.新幹線で降車したあとの行動を予測してレンタカー予約しておく
車内から出たら、駅に浮気相手が車で迎えに来ている事も考えられます。
その為、新幹線内であらかじめタイムズカーシェアリングで駅から一番近い場所の車を予約しておき、一人は徒歩で尾行を続けた上で、もう一人が予約されていた車を取りに行きます。
もし対象者が浮気相手の車に乗り車が間に合わない時は、タクシーで徒歩尾行の調査員が追跡します。駐車する所や店に入る所まで追跡したら、なるべく早い段階でGPSを設置します。浮気相手の車に対象者が乗った際は必ず車のナンバーと運転席の人物を確認することで、GPSを設置した後、見失っても見つけ出す手がかりになります。
2.新幹線を利用する対象者を尾行した浮気調査の事例
対象者は女性の販売員で、基本的にはバイクで移動しますが、車も使用し、徒歩で出ることもある人でした。そのため、動きが読みにくく、調査の糸口が掴めないまま半年が過ぎてしまいました。
そんなある日、依頼者からこの日が怪しいから朝の二時間だけ自宅を張り込んでほしいと連絡がありました。さらに、新幹線で動くかもしれないという情報があり、調査員を対象者の自宅、最寄り駅、新幹線のある駅に配置しました。
調査当日、家から出た対象者はバイクに乗車したため、自宅付近に待機していたバイク班が追尾します。対象者が最寄り駅の駐輪場にバイクを駐輪したところを確認し、そこからは徒歩での尾行に切り替わります。
バイク班が最寄り駅で待機している調査員に連絡し、待機していた調査員がそのまま尾行を開始します。対象者は新幹線のある駅で降り、新幹線の切符売り場で切符を購入しようとします。
新幹線の駅で待機していた調査員は素早く、対象者を尾行していた調査員に入場券を手渡し、連携を取ります。そのまま新幹線に乗車した対象者は、情報にて可能性があるかもしれない、と言われていた駅で降車します。
そこでは、浮気相手が車で迎えに来ていました。対象者は素早く、浮気相手の車に乗り込み、発進してしまします。調査員は、タクシーで浮気相手の車を追尾すると、向かった先はラブホテルでした。
その時点で近くのカーシェアリングが可能なところから車を借りて、車を急遽用意して調査を継続することになります。
調査員は、二人がラブホテルから出てくるところを撮影し、さらに追跡します。その後、二人はご飯を食べた後、対象者を駅まで送り、別れました。
ここからは、さらに追跡し、浮気相手の素性を調べます。車が駐車した先は一戸建でした。翌日、早朝から調査を開始し、浮気相手の勤務先と同居人を判明させることができました。
3.対象者が新幹線を利用する場合の浮気調査の料金は?
基本的には、新幹線による費用は別途実費でいただくことになります。新幹線を利用する対象者を尾行するには最低でも2名は必要ですので、2名分の新幹線の往復料金をいただくことになります。
また、通常の調査に比べ、調査を成功に導くまでに必要な調査員の数が増えることになります。大体の調査であれば探偵2名で対応が可能になりますが、新幹線を利用することが事前に分かっている場合において確実に成功に導く為には、最低3名は欲しいところです。
というのも、新幹線に乗車するまでに必要な尾行要因の探偵が2名必要であり、その他に車を運転して万が一のタクシーやバスなどの移動にも対応する車まわしという要因1名が必要になるからです。その為に、通常よりも探偵1名分の料金が多くかかることになります。
但し、事前に乗車する新幹線の情報(出発時刻、座席番号、行き先)が分かっている場合には2名で対応が可能となりますので通常通りの料金にて対応することが出来ます。
まとめ
今回紹介したように、対象者が新幹線を利用する場合は難易度も高くなる上、少しではありますが料金も高くはなってしまいます。ただ、だからと言って新幹線に乗った先に浮気の可能性があったり、浮気相手と一緒に新幹線に乗って移動しているのであれば、確実に尾行を行いついていくことが重要です。
新幹線を利用するかどうかも、なかなか事前に分からないケースが多い為、突然の対応が求められる尾行にはなりますが、経験を積んだ探偵であれば落ち着いて対応し成功に導くことが可能です。