プロの探偵は、もちろん全ての案件において常に成功を目指して日々調査をし、そして日々反省しつつ成長しています。
しかし、残念ながら全ての案件が100%成功するというわけではなく、失敗してしまう事は必ずあります。探偵が未熟であったり技術が足りず、取り返しのつかない大失敗をしてしまう事もあります。失敗は少ないに越したことはありませんが、実際の調査件数に比例して必ず失敗は起こってしまうのです。そしてその失敗があるからこそ勉強し、より高いレベルの探偵に成長していきます。
本来であれば隠しておくべきことではありますが、その取り返しのつかない大失敗をしてしまった案件を紹介します。
目次
1.大失敗した浮気調査の内容はどういった案件だったのか?
ある日突然、妻と子供が家を出ていき離婚調停の通知が来る
その案件は、対象者は40代の女性で、ある日急に子供を連れて家を出ていってしまい、一方的に依頼者様との離婚を求めてきて、家庭裁判所に離婚調停を申し立てました。依頼者様にはそんなことをされる事に身に覚えがなく、対象者に浮気相手がいるのではないかというご依頼でした。依頼者様は対象者の住んでいる所すらわからなかったので、まずは住んでいる所の割り出しをして、そこから浮気調査に入る事になりました。
そこで、依頼者様に調停の日時と家庭裁判所の場所を教えて頂き、そこから調査を開始することになりました。対象者は、一方的に家を出て行っているという負い目もあり、警戒しやすいような状況でした。
家庭裁判所から離婚調停後に尾行をするという案件はよくあるので、その日案件に入った調査員も初めてではありませんでした。その為、調査員は成功出来るだろうと甘く考えていたのかもしれません。
2.どのような大失敗をした浮気調査だったのか?
無理な徒歩尾行の続行が警戒を招いてしまった
調査員は、予定通りの時間に2名の調査員で家庭裁判所を張り込み、調査を開始しました。
家庭裁判所の出入口は数か所あり、正面の出入口と内部に分かれて張り込む事になりました。依頼者様から調停が始まったと連絡が入り、数時間後に終了の連絡がありました。調査員は、集中して張り込みを続けていると、内部の調査員が対象者を見つける事が出来たので、外にいた調査員と連絡を取りながら尾行を開始しました。
尾行開始時は、特別警戒している様子はありませんでした。その後、対象者は駅に入り、改札を抜けホームに到着しました。それから、電車で移動し始めたのですが、調査員は、対象者と同じ車両に乗車した事で、対象者が警戒をしているようなそぶりを見せ始め、同じ車両に乗り降りをしたり、何度も振り返るようになりました。
誰かに電話をしながら頻繁に周囲を見渡しています。裁判所や駅のホームなどで、意識されていないにしても、何度か視界に入ってしまっていたのですが、調査員はこれ以上の尾行はまずいと思いつつも、ここで見失うと住んでいる場所がわからなくなり、調査が続行出来なくなる可能性があるという判断をしてしまい、無理やり尾行を続行しました。
途中で中止すべきだった徒歩尾行
後から考えるとこうなってしまった以上尾行を中止し、後日なにか別の方法を考えなければなりませんでした。そうしているうちに、対象者は尾行者を確認するように、移動しては振り向き、またUターンして元の位置に戻るといった行動をし始めました。ついには対象者に調査員がバレてしまい、駅員に報告しているような様子をみせました。原因としては、対象者が出てきた時から何度も視界に入ってしまった事でした。
対象者の行動から、普通の人よりは警戒しやすい状況にあり、尾行での距離の取り方など、もう少し工夫すべきでした。また、調査員は2人いたので、頻繁に交代しつつ、1人は絶対に視界に入らないなど、しっかりとした連携が取れていなかった事も決め手となってしまいました。
案件について、調査開始前からしっかりと考えて、集中して調査に入っていればこんな失敗はなく、こんな事にはならなかったでしょう。
3.浮気調査を大失敗した結果、どのような結末を迎えたか
尾行していた駅構内で駅員に通報されてしまう
結果的に、調査員は2人とも対象者に尾行をしている事が発覚してしまい、駅員に報告されてしまいました。駅員は調査員に対して、事務室に来るように促しましたが、なにか取り返しのつかない事になると感じてしまい、走って逃げてしまいました。追いかけられはしましたが、その日は捕まる事はなく、逃げ切る事が出来ました。
しかし、逃走の際に携帯電話を落としてしまい、その携帯電話を警察へ届けられ、その携帯電話から持ち主を調べられて、警察へ出頭するようにと通知が来てしまいました。
誤った失敗対応のため警察の捜査対象となってしまう
後日、この調査をする事も出来ず、警察に出頭する事にもなり、散々な結果に終わってしまいました。逃走したことで探偵だと言っているようなもので、依頼者様も別の探偵社に依頼する事も出来ません。
調査員は、違法な事をしていたわけではないので素直に駅員に応じ、警察を呼んでもらうなど、冷静な対応をするべきでした。実際に警察へ出頭すると逃げてしまっては、捜査の対象となってしまうので、逃げてはいけないと注意されてしまいました。対応の仕方によっては次回の調査に繋がった可能性もあります。
4.大失敗を経験し、探偵としてどのような成長があったか?
調査を成功させるためには、十分な事前調査が必要となる
この調査を振り返ると、対象者は一方的に子供を連れて出て行って、離婚調停を申し立てているくらいですから、多少なりとも負い目を感じる事で警戒をしやすい状況だったということが想像できました。そのため、不用意に対象者の視界に入らなければ、尾行を成功させる事も出来たのではないかと感じました。
調査を開始する裁判所やその最寄りの駅までの道はもっと事前に調べておけば、より目立たない張り込み位置で張り込む事が出来たり、駅までの道でもっと距離をとれたかもしれません。事前準備や張り込み・尾行についてもう一度考え直す必要があると感じました。
この大失敗を通じて、事前に対象者の情報や、開始位置などの事前調査や、警戒している可能性のある対象者との距離の取り方、発覚してしまった時の対処法など、様々な事を学ぶことができました。
慣れてきたと感じたとしたら要注意。常に初心で調査を実施する
尾行の際は、人通りの少ない場所では距離をとる、対象者が急に振り返った時に目が合ってしまわないように、対象者の足元を見ながら尾行する、対象者の目についたと感じた時に着替えをするなど、基本的なことをしっかりしなければ、調査を成功に近づける事はできません。
張り込み位置は、対象者が向かう方向の反対側に立つ、人を待っているフリや、電話をしているフリなど、不自然にならないような演技をする等です。調査員になって慣れてきた時こそ、初心に立ち返り、張り込みや尾行など調査の基礎をもう一度振り返らなければなりません。
5.大失敗した際の調査料金はどうなる?
当社は後払い制度の探偵社の為、当然料金はもらえませんでした。というよりも料金を頂く訳にもいかない為、発生せず調査終了となりました。
失敗していて言うのも何ですが、やはりこういった失敗の場合に料金がかからないようにする為にも、浮気調査の料金は調査終了後に支払う「後払い」が可能な探偵社に依頼すべきであるといえます。事前に支払っている場合、どの探偵社であったとしても「調査結果、内容に関わらず料金は発生する」という内容の契約書が作成されている筈なので、返金は難しいと思われます。
6.浮気調査の料金を前払いの契約をしては絶対にダメ!
万が一探偵が上記で説明した通りの結果になった場合、前払いで契約をしていれば、返金されることはありません。
何も結果が出来いないのに返金されないということはおかしい気がしますが、前払いの契約をしている場合には、絶対返金されないというのが探偵社では一般的なのです。
浮気調査の料金を前払いしてしまう危険性を下記で詳しくまとめましたので、ご参照ください。
浮気調査の料金を【前払い】で支払ってしまうと危険な4つの理由
7.後払いで契約できる探偵社は非常に少ない
探偵社としては、調査に成功しても、失敗しても料金を受け取りたいという気持ちがあります。
そのため、ほとんどの探偵社が料金を前払いで請求しております。
前払いであれば、失敗されているにも関わらず料金を返金してもらうことができないのです。
この仕組みを変えたいと考え、やすい探偵興信所では、料金を支払は、完全後払いで対応させて頂いております。
まとめ
探偵として、常に100%を求め調査をしなければなりません。しかし、探偵も人間なので、100%成功というわけにはいきません。100%の成功に近づける為に、周到な調査準備や調査技術を磨くことを決して怠ってはいけません。調査がうまくいっている時こそ初心に立ち返り、尾行での距離の取り方やカメラの隠し方、張り込み位置の確認、対象者の警戒度の見極めなど、何度でも確認し、その上で失敗してしまったとしても、その失敗を取り戻せるよう最善の手を尽くします。
事前準備や努力を怠らなければ、取り返しのつかないような大失敗は十分に防げるはずです。
張り込み・尾行には、これが正解というものはありません。一つ一つの案件、一人一人の対象者によって、張り込みや尾行の仕方は変わるのです。その為、常に頭を使って、起こりうる全ての可能性に対応出来るようにしなければならないのです。その為には、一つ一つの案件に真剣に取り組み、日頃から考える力を養って行かなければ、難易度の高い案件に遭遇した時に、成功させる事は難しいでしょう。